荷待ち時間は、ドライバーの拘束時間を長引かせます。さらに、物流コストや輸送の安定性にも影響します。改正物流効率化法では荷待ち・荷役時間の短縮が求められており、2時間ルールへの対応も含めて、CLO(chief logistics officer)物流統括管理者には早急な対策が必要です。
しかし、荷待ちの原因は現場ごとに異なります。荷物の準備遅れや荷役能力の不足など、その要因はさまざまです。原因を切り分けないまま対策を進めると、過剰・過少投資になりやすいため、自社に合った進め方を設計することが大切です。
本記事では、荷主企業の物流担当者に向けて、荷待ち時間が発生する主な原因から改善方法、投資回収の考え方までを順に解説します。最後まで読めば、自社の課題に合った荷待ち対策がわかり、過不足のない物流改善に取り組めるようになります。
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INDEX
自社に適した荷待ち改善の「進め方」を設計するには
荷待ち時間を改善するには、まず発生原因を特定します。そのうえで、運用改善から設備投資まで段階的に検討することが重要です。原因を切り分けないまま対策を決めると、過剰投資または過少投資になる可能性があります。
ただし、「原因の特定→運用改善→システム・物流機器の導入(人・機器・システムの連動)→費用計画 」という進め方を自社だけで設計するのは容易ではありません。「自社に合った進め方がわからない」という場合は、物流課題の解決を丸ごと相談できる外部パートナーを活用するのもひとつの方法です。
芙蓉総合リースでは、特定のメーカーやベンダーに縛られない中立の立場で、原因の切り分けから打ち手の設計まで伴走します。費用計画も含めてサポートするため、物流現場の課題と投資負担の両面から現実的な対策を提案できます。
自社に合った荷待ち改善の進め方を相談したい方は、以下のボタンから芙蓉総合リースへお問い合わせください。
荷待ち時間とは?定義と最新の実態
荷待ち時間とは、荷主や物流施設側の都合で、ドライバーが荷役(積み下ろし)を始めるまでに待機した時間のことです。到着した時刻から荷役の開始までを数えます。荷待ちを放置すると以下のようなリスクが生じ、安定した物流体制を維持することも難しくなります。
| 荷待ちを放置するリスク | 荷主への影響 |
|---|---|
| 運んでもらえなくなるリスク | 2024年問題でトラック1台あたりの輸送量が減るなか、運送会社から、荷待ちが長い荷主は敬遠され、配車を断られる可能性がある |
| 法令上のリスク | 行政の指導や勧告の対象となり、荷主名が公表される恐れがある |
| コスト化のリスク | 待機時間料として、運賃とは別に支払いを求められる場合がある |
| 取引・信頼のリスク | 取引先やドライバーからの信頼を損なう可能性がある |
なお荷待ち時間を考えるときは、「荷待ち」と「荷役等」を分けて把握することも重要です。荷役等には検品や荷造りといった付帯作業も含まれます。改正物流効率化法では、荷待ちと荷役等を合わせて2時間以内に収める「2時間ルール」が定められています。
国土交通省の調査(実施期間:2025年11月25日~12月24日)によると、1運行当たりの平均拘束時間は10時間13分、荷待ち・荷役等時間は2時間2分でした。改善は進んでいますが、平均値は2時間ルールの水準とほぼ同じであり、自社の現状も見つめ直す必要があります。
荷待ち時間が発生する主な原因
荷待ち時間が発生する原因は、荷役準備の遅れから処理能力の不足まで多岐にわたります。まずは、荷待ちの主な原因を3つに分けて整理しましょう。
| 荷待ち時間が発生する主な原因 | 現場の状況 |
|---|---|
| 荷役準備の遅れ・非効率な庫内作業 | 到着時にピッキング・検品・梱包が終わっていない |
| 特定時間帯への車両集中 | 午前中などにトラックが重なり、受付とバースが混雑する |
| 作業体制・人員配置の不足 | トラック到着時に作業員やフォークリフトの手配が間に合わず、作業待ちが生じる |
荷待ち時間の改善を図るには、まず原因を見極めることが大切です。自社のボトルネックを把握することが、効果的な改善策を選ぶ前提です。
荷待ち時間の改善に向けた行政の取り組み
荷待ち時間の課題に対しては、行政も改正物流効率化法を通じて改善を促しています。目安となるのが、荷待ち・荷役の合計を2時間以内に収める「2時間ルール」です。罰則を伴う基準ではありませんが、長時間の荷待ちを繰り返すと行政指導・勧告の対象になる場合があります。
また、2026年4月には改正物流効率化法により、前年度の取扱貨物重量が9万トン以上の荷主を対象とした特定荷主制度が施行されました。特定荷主に指定された場合は、CLO(物流統括管理者)の選任、荷待ち時間の改善に向けた中長期計画の作成・提出、定期報告などの義務が生じます。
【ステップ1・運用改善】現場のボトルネックを確認し、費用をかけずに改善する
荷待ち時間の改善は、以下のステップで進めるのが基本です。
- 運用改善
- システム導入
- 物流機器の自動化対応
原因の切り分けには、どの打ち手がどの原因に効きやすいかを整理しておくと役立ちます。

ステップ1では、まず現場のボトルネックを特定し、運用の見直しを検討します。ここからは、費用をかけずに取り組める運用改善の方法を解説します。
到着・受付時間帯の分散(平準化)
車両の到着が特定の時間帯に集中している場合は、到着・受付時間帯を分散させましょう。「納品時間帯を細かく区切る」「時間帯ごとに受け入れ台数の上限を設定する」など、車両の到着を平準化しましょう。
混雑が和らぐと、バースが空くまでの待機時間を短縮できます。荷役担当者やフォークリフトの稼働も安定しやすくなります。
現場での判断に迷いが生じないよう、時間帯ごとの受け入れ可能台数や受付方法、遅延時の連絡方法などは事前に決めておくのがポイントです。
荷主・事業者間の連携強化
荷待ち時間の改善には、運送会社や取引先との情報共有も重要です。出荷情報や荷物の準備状況を共有しておけば、ドライバーの到着に合わせて荷役作業を開始できる体制を整えられます。
製造の遅れや在庫不足が発生した場合も、早めに共有することで配車スケジュールを調整しやすくなり、結果として運送会社の負担軽減につながります。
情報共有には、必ずしも大規模なシステムが必要とは限りません。まずは既存のクラウドサービスやSNSツールなどを活用し、荷主・事業者間でスムーズに連携できる状態にしましょう。
【ステップ2・システム導入】トラックを予定どおりに迎え、計画の遅れをなくす
ステップ2は、運用改善だけでは平準化しきれない到着・準備のズレを、システムで揃える段階です。トラックの到着と庫内作業を連動させ、計画どおりに荷役を開始できる状態をつくります。ここからは、バース予約管理システムと倉庫管理システムを活用した改善方法を解説します。
バース予約管理システムの導入
バース予約管理システムは、Webやアプリでトラックの到着予定時刻を事前予約する仕組みです。到着時間があらかじめわかるので、バースと荷役担当者を計画的に配置でき、待機時間の短縮につながります。
バース管理システムには「受付型」と「予約型」があり、以下のような特徴があります。
| バース予約管理システムの種類 | 特徴 |
|---|---|
| 受付型 | 到着後にドライバーが受付し、順番待ちを電子化する |
| 予約型 | 事前に到着枠を押さえる |
車両の集中による荷待ち時間の短縮が目的なら、到着そのものを分散できる予約型が効果的です。一方で、荷待ちの原因が庫内の準備遅れにある場合は、バース予約で混雑を緩和しても、荷役開始までの待機が残る可能性があります。
システムの導入自体を目的にせず、自社のボトルネックを解消できる打ち手を選びましょう。
倉庫管理システム(WMS)の導入
倉庫管理システム(WMS)は、入庫・在庫・出庫など倉庫内の情報を管理するシステムです。在庫状況や入出荷の進捗をリアルタイムに把握できるので、トラックの到着に合わせて、荷役準備を前倒しで進めやすくなります。
また、倉庫管理システムで出荷予定のデータを蓄積すれば、曜日ごとの物量の偏りも把握することが可能です。需要予測と出荷計画を組み合わせ、特定の日に物量が偏らないよう計画すれば、庫内作業の遅れを抑えやすくなります。
【ステップ3・物流機器の自動化対応】人手不足・属人性に対応する
運用が改善したりバース予約・WMSなどのシステム管理が導入されたりしても、人手不足や作業が特定の担当者の経験に頼る属人化が生じていると、荷役に時間がかかります。ステップ3では、人手不足や作業の属人性といった問題に対して、自動化設備の活用を部分的に検討します。
ただし、物流機器の自動化対応は投資規模が大きくなりやすいため、費用対効果と資金の組み方を見極めましょう。
マテハン機器・自動搬送機器(AGV・AGF等)の活用
人手不足や庫内作業のボトルネックが荷待ちの原因になっている場合は、マテハン機器や自動搬送機器の活用が効果的です。荷役作業そのものを自動化・省人化すれば、作業時間の短縮や処理能力の向上につながり、荷待ち時間の削減が期待できます。
ただし、自動化・省人化は機器を導入すれば成功するわけではありません。機器の導入は人の業務を代替するものであるため、まず現在の業務を可視化・標準化したうえで検討することが重要です。人・機器・システムを連動させて運用する前提で、現場をよく見て導入を進めましょう。特定のメーカーに任せきりにすると、現場に合わず効果が出ないリスクもあります。
自動化による効果を得るには、荷姿が揃っていることが前提です。AGV(無人搬送車)やAGF(無人搬送フォークリフト)は、形が決まった荷物を速く動かすのは得意ですが、形が不揃いだと動きが遅くなります。
また、検品のように、正しいものを正しいトラックに積む個別の確認作業は、人のほうが速い場合もあります。まず荷姿の標準化を進めたうえで、定型的な搬送は機械、個別判断が必要な作業は人というように、役割を切り分けましょう。
なお検品についても、RFIDを活用すれば商品や物流機器をまとめて読み取り、入出庫時の確認作業を効率化できます。
このような物流機器の自動化対応は、投資規模が大きくなりやすいのが特徴です。機種の選定に加えて、購入・リース・サブスク・従量課金制など資金の組み方が重要になります。外部パートナーも活用しながら、自社に適した投資回収の方法を検討しましょう。
パレット化の推進
荷役作業に時間がかかっているなら、段ボールなどの手荷役からパレット単位の荷役へ切り替える方法も有効です。パレット化によってバラ積みの商品をまとめて搬送できれば、作業時間の短縮につなげられます。
実際に、加工食品・家電・自動車部品業界を対象とした「パレット標準化による一貫パレチゼーション実証実験」では、同一規格のパレット導入により、作業時間の短縮が報告されています。特に、家電業界では発着の倉庫それぞれで約81%という、80%を超える削減が確認されました。
パレット化では、パレットの規格や運用ルールを標準化することが重要です。パレットに載せた後に別のパレットへ積み替える作業が発生すると、かえって作業時間が長引く場合もあります。輸送・保管・荷役でパレットを標準化しておけば、積み替え作業を減らし、荷役作業の効率化や作業時間の短縮につなげられます。
荷待ち時間の改善はシステムを含めた全体での最適化が大切
荷待ち時間は、個別の物流機器やシステムを導入するだけでは改善につながりません。入荷から保管、出荷までの庫内業務を見渡し、運用・システム・物流機器を横断して全体を最適化することが重要です。
まずは荷待ちの原因を特定し、運用改善から必要に応じた物流機器の導入まで、現場に合った改善策を検討しましょう。現場のオペレーションと連動させることで、導入した打ち手が定着しやすくなります。
しかし、「原因の特定→運用改善→システム・設備の導入(人・機器・システムの連動)→費用計画 」という一連の流れを自社だけで設計するには、大きな負担が伴います。特に原因を切り分けないまま物流機器を導入すると、過剰投資や過少投資のリスクがあるので注意が必要です。
芙蓉総合リースでは、現場の課題を見極めたうえで、原因の切り分けから打ち手の設計、費用計画まで一貫して支援しています。特定のメーカーや物流機器に縛られないベンダーフリーの立場から、運用改善とシステム・物流機器導入を組み合わせ、最善の改善策を提案します。
「効果的な打ち手がわからない」「投資を回収できるか心配」という企業は、ぜひ自社で判断する前に芙蓉総合リースへお問い合わせください。
荷待ち対策の費用と投資回収の考え方
荷待ち対策にかかる費用は、運用改善や物流機器導入など、選択する施策によって変動します。対策費用はもちろん、荷待ちを放置することで増えるコストまで含めて投資判断をすることが重要です。
とくに自動化機器への投資は、短期では人件費と比べて投資対効果が見えにくい傾向があります。改正物流効率化法でCLO(物流統括管理者)の設置が求められるなか、物流を経営課題として捉え、中長期の視点で投資を判断することが大切です。人件費の高騰や採用・教育コスト、人材不足、物価高騰や金利の上昇といったリスクも踏まえ、経営的思考で投資を考える物流改革が求められます。
本章では、荷待ち対策の費用と投資回収の考え方を以下3つに分けて整理します。
- 対策にかかる費用の目安
- 放置によるコスト増という荷主のコスト構造
- 荷主側の投資判断のポイント
それぞれ詳しく解説するので、社内稟議にお役立てください。
対策にかかる費用の目安
荷待ち対策にかかる費用は、運用改善・システム導入・物流機器の自動化対応のどこまで取り組むかによって大きく変わります。運用改善では、受付時間帯の見直しや事業者間での情報共有が中心となるため、物流機器投資に比べてコストを抑えやすい傾向にあります。
一方システム導入では、初期費用に加えて月額の利用料が発生するのが一般的です。物流機器の自動化対応では、機器本体のほか、搬入・設置・既存の物流機器との連携・保守にも費用がかかります。そのため、高額投資になりやすい傾向があります。
放置によるコスト増という荷主のコスト構造
荷待ち時間の放置は、荷主のコスト増加につながる可能性もあります。2024年に改正された「標準的運賃」では、待機時間料や積込料・取卸料が別建てで示されました。荷待ち・荷役の合計時間が2時間を超える場合には、5割の割増率が加算される仕組みが導入されています。
標準的運賃は国が示す目安であり、実際の料金は取引で決まりますが、待機・荷役の対価が明確化された点は荷主にとって無視できません。
荷待ち時間が長引くほど、荷主の支払いは積み上がります。将来的なコストを抑えるためにも、荷待ち時間の改善に取り組むことが大切です。
荷主側の投資判断のポイント
荷待ち対策で投資判断をするときは、物流機器・システムの価格だけでなく、資金の組み方も含めて検討することが重要です。
| 資金の組み方 | 支払い方法 | 投資判断のポイント |
|---|---|---|
| 購入 | 一括で支払う |
|
| サブスクリプション | 利用期間中、 毎月一定額を支払う |
|
| 従量課金制 | 利用量(稼働量)に応じて 料金を支払う |
|
| リース | 契約期間中、 毎月一定額を支払う |
|
| 補助金 | 国や自治体から 費用の一部が補助される |
|
投資判断では、施策によって得られる効果を具体的に洗い出すことが大切です。荷待ち時間の削減や処理能力の向上など、効果を明確にしましょう。荷待ちの改善計画と資金計画を一体で考えることで、無理のない投資につながります。
荷待ち時間の改善に向けた相談は芙蓉総合リースへ
荷待ち時間の改善では、まず荷待ちの発生原因を特定し、運用改善からシステム導入、必要に応じた物流機器の自動化対応、費用計画まで一体で設計することが大切です。庫内業務全体を見たうえで、自社に合った進め方を検討しましょう。
芙蓉総合リースでは、特定のメーカーやベンダーに縛られない中立の立場で、現場の課題に合った運用・システム・物流機器をご提案しています。物流の専門性とリース・ファイナンスの知見を掛け合わせ、支払い方法や投資判断を含めた費用設計までサポートします。
荷待ち時間の改善を検討しているものの「どこから手を付ければよいかわからない」「自社に合った物流機器の選定と費用設計が難しい」といった課題がある場合は、ぜひ芙蓉総合リースへご相談ください。
